【今週の3曲】尾崎豊の3曲

本日4月25日は遠藤ミチロウ(1950年11月15日 – 2019年)が亡くなってちょうど1年。
自筆の遺言書の一部が公開されてニュースになっていましたね。
令和になって入ってきたその訃報の衝撃はまだつい最近のことのようにも思いますし、新型コロナですっかり様変わりしてしまった今の世の中では、だいぶ前のことのようにも思います。

遠藤ミチロウに関しては以前取り上げたので、そちらを後で加筆するつもりでおります。

で、掲題の通り尾崎豊。この人も命日が同じく4月25日(1965年11月29日 – 1992年)。亡くなって早28年か。
26歳で夭折したこの不世出のシンガーソングライターが生きていた時間よりも、亡くなってからの時間の方がもう長くなっていたんですね。

この人に関しては基本的に説明不要だとは思いますが、代表曲以外はあんまりよく知らないという人や自分とは関係ないだろうと思っている人向けに3曲選んでみました。

尾崎豊のパブリックイメージといえば、まず「十五の夜」や「卒業」といった反抗ソング。
でもこれらの曲って、校門でいきなり教師にバリカンで頭髪を刈られたとかがそんなに珍しくもなかった時代の話で、大人たちへの抵抗・反抗といったものがほぼ効力を失っている今とでは、だいぶ状況が異なっている為、近年あんまり聴かないような気がします。

流れても今の若い人からすれば、「古い時代を感じる」くらいの反応が多数なのではないかと思いますが、とは言えやっぱりこのイメージは強いですよね。

個人的にもこの辺の楽曲って、昔から特にシンパシーは感じなかったのですが、これだけで無関係だと思うのは勿体ない。

続きましてパブリックイメージその2は多くの歌手にカバーされ続ける楽曲「I LOVE YOU」。これはもう言わずもがなの名曲なので、本日ここでは取り上げず、まずはいきなり結論から。

…と思いましたが、ちょっと純度が高すぎて人を選んでしまうかも知れないので、結論は一旦置いておいて、まずは代表曲以外あんまり知らないという人にもお勧めの、もしかすると意外だと思われる曲調の楽曲から。

尾崎豊-街角の風の中-
尾崎豊 – 街角の風の中
街角の風の中
尾崎豊 – 街角の風の中(LIVE)

1987年にリリースされた通算6枚目のシングル『核 (CORE)』のB面に収録された「街角の風の中」。英題は「TWILIGHT WIND」。

これオリジナルアルバムには未収録で、1988年作品『街路樹』がCDで2007年に『街路樹+2』として再発された際の『+2』の内の1曲として追加収録されています。
他には2008年にリリースされたベストアルバム『WEDNESDAY 〜LOVE SONG BEST OF YUTAKA OZAKI』にも収録。

シンプルに良い楽曲でちょっとと言うかだいぶネオアコっぽさもある編曲。
サウンド的には英国のグループAztec Camera(アズテック・カメラ)のデビュー作にして超名盤『High Land, Hard Rain(ハイ・ランド、ハード・レイン)』(1983年作品)に通じるものが多分にある。

余談ですがこの『High Land, Hard Rain』って帯だか解説だかでムーンライダーズの鈴木慶一がコメントを寄せていました。
あと帯の文句はよく覚えていて「君に捧げる青春の風景」でしたね。

Aztec Cameraといえば、かのフリッパーズ・ギターの二人、小沢健二(1968年 – )小山田圭吾(1969年 – )が多大な影響を受けていた訳ですが、主観ながらフリッパーズのどの楽曲よりもAztec Cameraのフィーリングをモノにしたのが尾崎豊の楽曲だったというのはなかなか面白いと思います。

もう一つ余談ながら、The Style Council(スタイル・カウンシル)の「Shout To The Top」及び、Azteca(アステカ)の「Someday We’ll Get By」を大胆にパクった事で知られる小山田圭吾のソロ・Cornelius(コーネリアス)名義のデビュー曲「太陽は僕の敵(The Sun Is My Enemy)」(1993年作品)。
これ尾崎豊の『街路樹』収録の「遠い空」にサビメロの入りが結構似ていたりする。さすがにこれに関しては意図せずだと思いますが。

話を戻しまして「街角の風の中 (TWILIGHT WIND)」。これは隠れネオアコ/ギター・ポップ名曲と呼んでも良いのでは。

とは言え勿論、尾崎豊固有の孤独と言いますか、文学性は歌詞にしっかり現れていて、最後、

ねぇ あれからどうしているの
きっと君は生活に
奪われてゆく愛より
幸せになっただろう

というフレーズは明るいサウンドの中で余韻を残します。
ボーカルはそれでさらっと終わっても良いような気がしますが、最後「ウォウウォー」言っちゃうところが尾崎豊らしいところ。
でもこれはこれで良いんですよね。
あえて言葉にはしなかったであろう想いが溢れているようで。

2曲目。これは代表曲の一つなので良く知られているとは思いますが、先に述べた通りこれが尾崎豊の一つの結論というか結晶だと思います。

尾崎豊 - シェリー
尾崎豊 – シェリー(LIVE)

当時19歳。1985年8月の大阪球場のライブ。しかし凄い映像が残っていたものです。
昨日取り上げた中村佳穂(1992年 – )や、尾崎豊と公私共に付き合いのあった岡村靖幸(1965年 – )とはアプローチが異なりますが、この人もまた全身音楽家であることがよくわかるのでは。

この「シェリー」に関してはオリジナルアルバム収録のバージョンよりも、ライブバージョンの方が段違いに良い。
音源で言えば個人的には1987にリリースされたライブアルバム『LAST TEENAGE APPEARANCE(ラスト・ティーンエイジ・アピアランス)』に収録されているバージョンの方が好みです。

言葉本来の意味でのソウルミュージシャンなんですよね。
魂の音楽家。破格のエネルギー量。

バイクを盗んだりとか、校舎の窓ガラスを割ったとか、そういう歌詞の楽曲もありますが、それは置いておいて、そうじゃない曲の方を是非色々聴いてみて欲しいところであります。

この「シェリー」よりも更にディープな、最早狭義のポップミュージックの範疇から逸脱してしまっているのが、先にご紹介した「街角の風の中 (TWILIGHT WIND)」のA面曲「核 (CORE)」だったりするので、興味を持たれた方は是非。特にシングルバージョンが凄いです。

最後3曲目。これも「シェリー」同様代表曲の一つなのでご存知の方も多いと思いますが、改めてこれ。

尾崎豊(Yutaka Ozaki) – OH MY LITTLE GIRL
尾崎豊 – OH MY LITTLE GIRL

この「OH MY LITTLE GIRL」に関しては「シェリー」とは逆で、17歳の時にレコーディングされたデビューアルバム『十七歳の地図』収録のスタジオバージョンの方が断然良いと思う。
17歳の若さにも関わらず、未熟な初々しさなどは特に無くて、初めからもう既に圧倒的に完成されているという、滑らかでメロウなそちらのバージョンを是非。

個人的には「I LOVE YOU」よりも「OH MY LITTLE GIRL」の方が好き。全然飽きが来ないんですよね。シンプルに極上なものだけで絶妙に作られている印象で、これぞエバーグリーンと呼ばれるに相応しい楽曲の最たる例だと思います。

Aztec Cameraの中心人物Roddy Frame(ロディ・フレイム、1964年 – )は大変な早熟の人で知られていますが、日本で早熟と言えばそれはまず尾崎豊でしょう。岡村靖幸のベストアルバムのタイトルにもあったけれど。

ところでこのデビューアルバム『十七歳の地図』のジャケットの完成度。これもまた、ほんと凄いですよね。
時代を超越していると言うか、異空間に入り込んだまま時間を止めてしまっているかのようです。

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