【今日の1曲】中村佳穂 − LINDY (2019)

一昨日その前日取り上げたFiona Apple(フィオナ・アップル 1977年 – )の記事で、日本でFiona Appleに通じる才能の持ち主といえば誰か?ということで名前を出した中村佳穂(なかむらかほ 1992年 – )。

動物的とも言える躍動感のある人で、ここまでバネの強さやしなやかさ、総じて全身グルーヴのようなフィジカルの強さを感じさせる人は日本では岡村靖幸以来なのではないでしょうか。

吉田美和や稲葉浩志、MISIA、V6の坂本昌行ほか、傑出して歌の上手いボーカリストは他にも存在するけれども、この縦横無尽で独自性が高く予測し難い動きは、やっぱり岡村靖幸まで遡らないと居ないのではないかなーと思う。
更に遡れば矢野顕子だったり、ショーケン(萩原健一)だったり、ちょっと反則的ではあるけれど、ボアダムスの山塚EYEだったり、ここのグループなのかちょっと分からないものの桑田佳祐だったりがパッと思い浮かぶところですが、このタイプの音楽家というのは極少数で、もっと言うと海外でもそうそう出て来ません。

2018年にリリースされた大傑作『AINOU』は、そのフィジカルの強さのみならず、作り込まれたサウンドプロダクションが絡み合った、理想的とも言える楽曲が並んでおりましたが、制作陣へのインタビューを読むと、やはりフィジカルに偏らないようにかなり意識的に作られた作品のようです。

で、【今日の1曲】は『AINOU』の後、昨年2019年にリリースされた「LINDY」にしようと思ったところ、これスタジオ音源はプレミアム会員じゃないと試聴出来ないみたいです。ライブ音源があったのでとりあえずこちらで。

中村佳穂 "LINDY" うたのげんざいち 2019 in STUDIOCOAST
中村佳穂 − LINDY

このライブバージョンだと、パーカッションソロやドラムソロも入るので、多少聴く人を選ぶ感じかも知れませんが、スタジオ音源は「4分あればこれだけの事が出来る。」という面白音源なので是非そちらもサブスクとかで聴いてみてください。

余談ながら『AINOU』は、かの米津玄師(1991年 – )が絶賛していたことでも知られているようです。

ここからはだいぶ余計なことを書きますが、筆者にとって米津玄師って長らくいまいちピンと来ない人で、2015年リリースの「Flowerwall」は傑作だと思うものの、大体がその「Flowerwall」未満の楽曲という印象。
売れに売れた「Lemon」も然り。
ユニークな才能の持ち主であることは分かりましたが「10年に1人の才能」とか称賛されているのを見ても「うーん。それはちょっと過大評価なんじゃないの?」という感じでした。
大勢居るであろう、好きな人ごめんなさい。
やっぱりこれ別に書かなくてもいいよなーとも思いますが、でもまあ、これが偽らざる感想です。

で、今のところ「パプリカ」セルフカバーを除けば最新作の2019年作品「馬と鹿」。これが素晴らしく、フィジカルに対しての意識が急激に強くなったのか、突然一皮二皮剥けて、一回りも二回りもスケール感がアップした印象。

遡るとスケールアップに関してはその前作「海の幽霊」から始まっているようで、多分ここから歌唱法というか発声が変わっている(と思う)。
「海の幽霊」はややアヴァンギャルドとも言える結構攻めた作風で、「Lemon」と比べると万人受けはしなさそうですが、ここで一つ大きな扉を開いてそれを潜り抜けたのではないでしょうか。
個人的な印象ではここから米津玄師の音楽は成人になった気がします。

その後、ラグビーという言わずもがなフィジカルが重要なスポーツを題材とした熱いドラマのタイアップに見事応えた、先述の「馬と鹿」で、名実共に「国民的音楽家」たるスケール感とダイナミズムを見事身に付けたように思います。これは本当に素晴らしい。

ついでに「パプリカ」もどえらい当たったようですし(嵐への提供曲はよくわかりませんでしたが、まあ元々相性が良くはなさそう?なので、あれはノーカウントでも良いのでは)。

と、いう訳で米津玄師は個人的にもこれからが楽しみな音楽家の一人になった訳ですが、フィジカル面への意識という点では、もしかすると中村佳穂からヒントを得たなり触発された部分も結構あるのではないかなー。と思った次第です。はい。優れた音楽家であればこそ、影響を受けないはずがない。
中村佳穂という人はそれほどの音楽家で、米津玄師くらい売れて然るべき人です。
マジで。

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