【今日の1曲】David Bowie – Sue (Or In A Season Of Crime) (2014 & 2016)

短期集中David Bowie(デヴィッド・ボウイ 1947 – 2016年)特集。

引き続き通算25枚目(カバー1枚とバンド「Tin Machine」の2枚を入れると28枚目)にして最後のアルバム、2016年作品『Blackstar(「★」と表記)(ブラック・スター)』より、ここまで1曲目2曲目と来ておりますが、本日は1曲飛ばして4曲目に収録されている「Sue (Or In A Season Of Crime)(スー(オア・イン・ア・シーズン・オブ・クライム))」をご紹介することにします。

で、この楽曲も昨日の「’Tis A Pity She Was A Whore」同様、『★』以前の2014年に別アレンジでリリースされており、今回は先にそちらのバージョンから。

David Bowie – Sue (Or In A Season Of Crime)
David Bowie – Sue (Or In A Season Of Crime) 2014

直訳すると「スー(または犯罪の季節)」。
歌の内容は行き過ぎた愛憎劇のようですが、この歌詞の解釈として、「’Tis A Pity She Was A Whore」の曲名の元となった英国ルネサンス期の劇作家、John Ford(ジョン・フォード 1586 – 1639年以降に没)の舞台作品「’Tis Pity She’s a Whore(邦題:あわれ彼女は娼婦)」との関係を指摘しているサイトがあり、昨日も述べた通り、内容的には特に合致していなかった楽曲「’Tis A Pity She Was A Whore」よりもこちらの「Sue (Or In A Season Of Crime)」の方が、舞台作品の内容、特にクライマックスシーンにある程度則しているようです。

実際David Bowieの「’Tis A Pity She Was A Whore」は単体で配信リリースされた後、「Sue (Or In A Season Of Crime)」のB面に収録され10インチシングルとしてリリースされており、この2曲はセットだと思って良さそう。

ただし、舞台作品のあらすじをざっと読んだ限りでは内容的に完全合致しているというわけではなさそうで、あくまでモチーフ程度だとは思います。

舞台作品の方が、近親相姦だの復讐だのが出てくるのに対し、楽曲「Sue (Or In A Season Of Crime)」の方は、文字列から判断できる情報としては、かつて恋仲にあったのかなかったのかまでは不明な相手への横恋慕?がちょっと異様な感じになって来て、舞台作品のクライマックスに繋がってしまった感じ。
そこらへん気になられた方はご確認してみて下さい。

音の方ですが、こちらは「’Tis A Pity She Was A Whore」の宅録でジャンクな音とは正反対で、NYを拠点に活動するジャズグループ、Maria Schneider Orchestra(マリア・シュナイダー・オーケストラ)が参加しており、豪華なジャズ楽曲です。

海外メディアでは、この「Sue (Or In A Season Of Crime)」と、ブラジルのMPBというジャンルに括られる音楽家Milton Nascimento(ミルトン・ナシメント)の楽曲「Cais(邦題:波止場)」(1972年作品『Clube Da Esquina(邦題:街角クラブ)収録』)との類似が指摘されていたりします。

筆者はこのMilton Nascimentoのアルバムは結構聴いていたのに記事を読むまで全然気付いていませんでした。
改めて聴くと、言われてみるとまあそうかも。という感じです。「これはカバーだ」という手厳しい意見もあるようですが、そこまでかなー。というのが正直なところ。

ちなみに、何かにつけて名前を出している日本のロックバンド、MOONRIDERS(ムーンライダーズ )はMilton Nascimentoの別の楽曲「Travessia(トラベシア)」(1967年の同名デビューアルバムに収録)に、メンバーのかしぶち哲朗による日本語詞を付けてカバーしていたりします(1978年作品『NOUVELLES VAGUES』(ヌーベルバーグ)収録)。

もう一つついでに書くと、そもそも当サイトの『短期集中David Bowie特集』のきっかけになった日本のミュージシャン、高橋徹也の楽曲「シーラカンス」(1998年作品『ベッドタウン』収録)も結構「Sue (Or In A Season Of Crime)」に通じるものがあったりするので、これらも併せて聴いてみると良いのではないでしょうか。上記全部名曲です。

で、『★』に収録されたリアレンジバージョン。

David Bowie – Sue (Or In a Season of Crime) [Audio]
David Bowie – Sue (Or In A Season Of Crime) 2016

こちら2014年バージョンと比べて、ドラムが前面に出ており、よりジャズ・ロック感が強く、スパイ映画とかのテーマっぽい仕上がり。

個人的には『★』バージョンの方がやや好み。
2014年バージョンもMVでの尺(約4分)だと良いのですが、音源だとこれ約7分半あって、終盤ちょっとダレる印象があります。
ひとえにその差で、気分によっては2014年バージョンの方がしっくりくる事も。

こちら『★』バージョンの人力ドラムンベースのようなサウンドは、1997年の問題作『Earthling(アースリング)』が最後ここに結実したか。といった感慨もあります。

2014年リリース時は真逆のアプローチだった「’Tis A Pity She Was A Whore」と「Sue (Or In A Season Of Crime)」ですが、アルバム『★』の構成楽曲としてそれぞれ最適化され、表題曲と共に「(アタック感強めの)攻めの3曲」として着地しているのは流石のバランス感覚だな、と今回文章を書きながら改めて思った次第です。

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