【今日の1曲】David Bowie – ★(Blackstar) (2016)

短期集中David Bowie(デヴィッド・ボウイ 1947 – 2016年)特集。

昨日まで5日連続で2013年作品『The Next Day(ザ・ネクスト・デイ)』の楽曲を取り上げましたが、本日より通算25枚目(カバー1枚とバンド「Tin Machine」の2枚を入れると28枚目)にして最後のアルバム、『Blackstar(「★」と表記)(ブラック・スター)』の収録曲を取り上げます。

ああ、いよいよ最後の作品かー。

David Bowie – Blackstar (Video)
David Bowie – Blackstar (Video)

アルバム冒頭に収録された楽曲でアルバムの表題曲でもある「★」。

1曲目で約10分の表題曲。全体の曲数は少な目。という点では1976年リリースの通算10枚目のアルバム『Station to Station(ステーション・トゥ・ステーション)』に通じます。

怪しげな儀式のような、色々と暗示めいた演出が散見される、やたらとハイクオリティなMVが大変印象的ですが、MV無しで楽曲のみでも十分に怪しい。

アルバムでリリースされる約2ヶ月ほど前、2015年の11月に先行して発表された楽曲で、これは初めて聴いた時、久々にメチャクチャ攻めていることに驚きました。

David Bowieという人はキャリアの中で、何度もその時々のトレンドに乗ったり一旦飲み込み自己流に咀嚼して作品を作ったりしてきた人でしたが、1997年の『Earthling(アースリング)』を最後にそういったドラスティックな変化はなく、基本質の高いロック。という感じになっており、ここに来て新世代の先端ジャズ・ミュージシャン達を起用するとはちょっと予想外ながら、まあこの人なら十分にあり得る事な訳で、何よりも驚いたのは結果として出来上がったこの楽曲のディープさ。

特に個人的には前の記事で書いた通り10年振りの前作『The Next Day(ザ・ネクスト・デイ)』に対し、世間の評価ほど乗れていなかった事もあり、特に期待もしていなかったところにこれ。

これとんでもない楽曲だと思います。
筆者が思うDavid Bowieという人は、至極真っ当で常識的な人であり、端的に言うと、いわゆる「イっちゃってるタイプのミュージシャン」ではないと思っています。

超個人的な見解を述べるとDavid Bowieの作品の中で、そういうある種危険領域にあると思う楽曲は「Lady Stardust(レディ・スターダスト)」と「Starman(スターマン)」だけだと思っており、それらも狂気的とかそういうことではなくて、あまりにも完成度が高く、人が作ったというよりも「太古からあらかじめ存在していた物質がゴロッと出現したかのような存在感」を有している。というイメージによるものです(だけ、って書くとちょっとニュアンスがあれですが、こんなの1曲あるだけでも十分に凄い。その他の楽曲に対する偏愛もここまで結構書き散らしてきたつもりなので、もし良かったら読んでみて下さい)。

どんなにドラッグでボロボロのコンディションであっても、それ以外に別格に突き抜けた楽曲はない印象でしたが、この「★」は抜けていると思います。

それも上記の2曲のような「太古の〜」みたいな、おそらくはいわゆる「黄金律」が鍵になっているものではなくて、なにやらDavid Bowieその人の祈りのようなもので出来ているかのようです。

2016年1月8日、David Bowieの69回目の誕生日にリリースされたアルバム『★』。

その2日後の1月10日、David Bowieは亡くなります。

それまで全く公表されていませんでしたが、肝癌により18か月の闘病の末の死去だったと、公式Facebookにより公表されました。

本作でも共同プロデューサーを務めたTony Visconti(トニー・ヴィスコンティ 1944年 – )により明らかにされた、本作のレコーディング時のDavid Bowieの状態から、自身の死を意識して臨んでいたであろうことは容易に想像がつきます。

白地に『★』の記号のジャケット。内容的にもセールス的にも最高の結果。

自身の死をも織り込んだ計画とも呼べるほど、ここまで「見事な遺作」というのはちょっと前例がないのでは。

特にこの表題曲は素晴らしく、4年が経った今でもその鮮度は一向に落ちず、妖艶な魅力を放ち続けているように思います。
そしてこの先もずっとそうあり続けるのでしょう。

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