【今日の1曲】David Bowie – Fall Dog Bombs The Moon (2003)

短期集中David Bowie(デヴィッド・ボウイ 1947 – 2016年)特集。

引き続き今回も2003年リリースの通算23枚目(カバー1枚とバンド「Tin Machine」の2枚を入れると26枚目)のアルバム『Reality(リアリティ)』より、8曲目に収録された「Fall Dog Bombs The Moon(フォール・ドッグ・ボムズ・ザ・ムーン)」をご紹介します。

David Bowie – Fall Dog Bombs The Moon
David Bowie – Fall Dog Bombs The Moon

特集中何回か書いておりますが、2000年代に入って最初の十年紀のDavid Bowieの作品群は、その長いキャリアの中でも屈指の充実期だったと筆者は思っており、何度目かの黄金期と呼んでも良い程のクオリティの作品をリリースしていたと考えています。

その中心となるのが2002年リリースの『Heathen』と、この『Reality』の2枚のアルバムになる訳ですが、『Heathen』で到達した渋みのある成熟した幾つかの楽曲(&個人的にはややビミョーな印象の、打ち込み比重高め?楽曲)と、一転して小気味良い割とストレートなロック楽曲&途中丁度良いところに挟まれる数曲のミディアムスロー楽曲とで比較的シンプルに構成された『Reality』は好対照な作品で、セットで聴くとそれぞれの傑作ぶりがより引き立つのではないでしょうか。

この「Fall Dog Bombs The Moon」は初めて聴いた時から今に至るまで「なんかTeenage Fanclub(ティーンエイジ・ファンクラブ)みたいな曲だなー」と、以前当サイトで取り上げたこともあるグラスゴー出身のオルタナティヴ・ロックバンドを連想します。別にパクったとかそういう感じではなく、良い意味でです。余談ながらこのバンドはスピッツの草野正宗がフェイバリットに挙げていたりもしますよね。

で、「Fall Dog Bombs The Moon」は別にキレの良いロックでもムーディーなバラード系でもなく、派手な仕掛けがある訳でもない。強いてトピックス的な点を挙げれば、歌に入る少し前から出てくるギターのロングトーンが代表曲「Heroes(ヒーローズ)」をちょっとだけ想起させるようなところもありますが、平たく言って地味目な楽曲です。

でもこれ個人的にはなんか好きなんですよ。
平熱のニュートラルな感じで滋味に富んだ楽曲。
犬や月が出て来るところはムーンライダーズを連想したりもしますが、彼らの後期のアルバムに入っていてもおかしくないような楽曲でもあります。

ちょっと黄昏たような雰囲気に「Fall Dog」という、何かしらの暗喩なのか別にそういうものではないのかいまいちわからないながら(当時ニューヨークに在住していたDavid Bowieなので、2011年の9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件に影響されたイメージだとは思いますが)、直訳して「秋の犬が月を爆撃する」という一節に、物々しさよりも物悲しい感じがするのは、なんとなく季節が「秋」だからというのも大きい気がします。

事件後初制作のアルバムにも関わらず、『Reality』にはヒステリックだったり激的なタイプの楽曲はほぼ入っておらず、割とシンプルだったり、こういう懐の深い落ち着いた楽曲が収録されています。

それは当時の世の中の状況がどうであれ、気持ちの面でかなりの充実があったからなのではないかと思っています。

80年代やTin Machineの作品は軽視されがちな印象がありますが、それ以前にそもそも大して聴かれてすらいなそうな00年代作品。

この『Reality』は良い意味で大御所らしくない、通しでスルッと聴ける良いアルバムです。ジャケットはまあ何と言いますか、なかなかビミョーな仕上がりですが。

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