【今日の1曲】David Bowie – Black Tie White Noise (1993)

短期集中David Bowie(デヴィッド・ボウイ 1947 – 2016年)特集。

昨日は番外編で岡村靖幸の楽曲を取り上げましたが、本編に戻りまして今回から90年代編に入りますー。

一般的には「そんなのもあったね」的な扱いのバンド、Tin Machine(ティン・マシーン)で1989年と1991年に計2枚のアルバムをリリースするも正式な発表がないままバンド活動は終了。
その後、1993年に約6年振りのソロ名義でリリースしたのが、本日取り上げる通算17枚目のアルバム『Black Tie White Noise(ブラック・タイ・ホワイト・ノイズ)』です。

以前、The Walker Brothers(ザ・ウォーカー・ブラザーズ)の「Nite Flights(ナイト・フライト)」を取り上げた際に、併せてご紹介したDavid Bowieによるカバーも本作に収録されているので、同アルバムからは2曲目のご紹介となります。

David Bowie – Black Tie White Noise (Official Video)
David Bowie – Black Tie White Noise

アルバム表題曲でもある「Black Tie White Noise」。
こちらはタイトルからもある程度推察出来ますが、1992年の4月末から5月頭にかけて起きた、ロサンゼルス暴動での体験を基に作られたという、人種問題についての楽曲です。

PVを見れば分かる通り、ボーカルはDavid Bowieの他にアフリカ系アメリカ人ミュージシャンのAl B. Sure!(アル・B・シュア!)が参加しています。

アルバム制作時期の1992年にDavid Bowieは2度目の結婚をしており、アルバム1曲目のタイトルからして「The Wedding(ザ・ウェディング)」だったり、最後が「The Wedding Song」だったりするのですが、結婚相手でソマリア出身のスーパーモデルIman Abdulmajid(イマン・アブドゥルマジド)もアフリカ系の人なので、この時期特に人種問題について考える機会が多かったのかも知れません。

他の収録曲では、統合失調症を患い自殺してしまった、父親違いの兄についての楽曲「Jump They Say(ジャンプ・ゼイ・セイ)」や、その兄と連れ立って観に行ったというバンドCream(クリーム)の楽曲「I Feel Free(アイ・フィール・フリー)」のカバーなど、パーソナルな出来事が関連した楽曲が散見され、再婚に肉親の喪失に人種問題と結構複雑な作品です。

音的には『Let’s Dance(レッツ・ダンス)』から約10年振りにNile Rodgers(ナイル・ロジャース)を共同プロデューサーとして迎え、デジタルなファンク/R&Bにハウス要素を追加した音作りが為されており、ざっくり比較すると『Let’s Dance』よりもどっしりした印象。

PVにも登場するサックスですが、少年期に先述の兄の影響でモダン・ジャズに関心を持つようになり、14歳の時に母親からプラスチック製のアルト・サックスをプレゼントされ早速地元のミュージシャンにレッスンを受けた、というエピソードがあり、David Bowieにとって思い入れのある楽器だったのだと思います。
全アルバム中で最も本人のサックスがフューチャーされているのが(多分)この作品。

遺作になった2016年の★(ブラックスター)は明らかにジャズ要素の強い作品でしたが、キャリア通して、明らかにそれとは判らない楽曲にも結構深い所にジャズの影響はあったように思います。
それが独特の分かりにくさと言うか一筋縄では行かない深みに繋がっていたような。

他にもこのアルバムについては挙げておきたいトピックが結構色々あって、グラム期を支えたギタリストのMick Ronson(ミック・ロンソン)が久々に参加するも、アルバム発売の同月1993年の4月に亡くなったことで最後の共演になったことや、そのMick RonsonがプロデュースしたMorrissey(モリッシー)のアルバム『Your Arsenal(ユア・アーセナル)』(1992年作品)から「I Know It’s Gonna Happen Someday(アイ・ノウ・イッツ・ゴナ・ハプン・サムデイ)」をカバーしていたり。

個人的に興味深かったのが、フリージャズのバンドArt Ensemble Of Chicago(アート・アンサンブル・オブ・シカゴ)のメンバー、Lester Bowie(レスター・ボウイ)がトランペットで参加したことで、「ボウイ同士」の競演が果されたことも挙げておきます。David Bowieの方は芸名ですが。

Lester Bowieは惜しくも1999年に58歳の若さで亡くなっていますが(奇しくもDavid Bowieと同じ肝癌)、余談ながらArt Ensemble Of Chicagoは活動を継続しており、昨年2019年は50周年アルバムをリリース。これ、ele-king誌の2019年ベストアルバムの3位に選ばれていましたね。実際良いアルバムでした。

『Black Tie White Noise』に話を戻しまして、本作は1984年のアルバム『Tonight(トゥナイト)』以来の全英アルバムチャート1位を記録し、最高のソロ再開となりました。

とは言え、David Bowieの作品の中では何故かあまり話題に上らない類の作品でもあります。

あー、でもそれを言ったらここから2003年の通算23枚目(カバーアルバムの『Pin Ups(ピンナップス)』と『Tin Machine』『Tin Machine II』を含まずカウント)のアルバム『Reality(リアリティ)』まで全部日陰な気もするのですが。

まあ世間的評価がどうであれ、90年代以降のアルバムにも良い楽曲は収録されているので、どれも聴き逃せないところです。
個人的には「Nite Flights」かこの表題曲がアルバムのベストトラックだと思っています。
ほんと凡百のミュージシャンには作れないですよ、これ。

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