【今日の1曲】Mahavishnu Orchestra, John Mclaughlin – River of My Heart

一昨日昨日とご紹介しました、ジャズにあまり馴染みが無いという人におすすめシリーズ、その3。

のつもりでしたが、選曲をどうしようか考えていて、あれが良いかなー。とか、世の「ジャズ入門」定番はあの作品だけど、入門にはこっちの方が良いのでは?とか、こういう切り口もあるよなー。とかあれこれ考えていたら、何故か急にモチベーションが下がってしまったので、3回目にして早速中断。

で、本日は「ジャズを系統的に真面目に聴いて行くとなかなか辿り着かなそうな作品」から選んでみることにしました。
何故にこのお題になってこの選曲なのかは自分でも不明ですが、サクッと紹介します。

Mahavishnu Orchestra – River of My Heart
Mahavishnu Orchestra, John Mclaughlin – River of My Heart

ジャズの帝王と称されるMiles Davis(マイルス・デイヴィス)がジャズにエレクリック楽器を持ち込んだ際に大きな貢献をした、英国人ギタリストJohn McLaughlin(ジョン・マクラフリン)率いる、Mahavishnu Orchestra(マハヴィシュヌ・オーケストラ)が1976年にリリースした通算6枚目のアルバム『Inner Worlds(邦題:インナー・ワールド 内深界)』より「River of My Heart(邦題:わが心の河)」。

細かいことを言うと、この作品の表記はグループ名のMahavishnu Orchestraの単独名義ではなく、かと言ってJohn McLaughlinのソロ作と言うわけでもなく、両方が併記されてるんですよね。地味に不明瞭というかなんだかちょっと座りが悪い。

で、この「River of My Heart」に関して言えば、John McLaughlinの関与は極めて少ないようで、ドラマーのNarada Michael Walden(ナラダ・マイケル・ウォルデン)という、ロックファンであればJeff Beck(ジェフ・ベック)の『Wired(ワイアード)』のドラム演奏でお馴染み、後に映画音楽やブラック・コンテンポラリー系アーティストのプロデューサーとして華々しい活躍を見せるメンバーが主に手掛けた楽曲です。
この人は高中正義や荻野目洋子の作品のプロデュースや、SMAPの作品にも参加していたりもします。

そもそもこの曲ジャズなの?っていう話ですが、まあ軸足はジャズに分類されるところに置いたグループのアルバムに収録されている、ブラック系メディテーション(瞑想とか禅とかそんな感じの)音楽。が適当かと思います。

これはもう誰が聴いても「朝だなー」と思うであろう楽曲で、小鳥の鳴き声のSEが入ってるから、というのがまず大きいのですが、森林浴しているところに更に光が差し込んでくるような、大変映像喚起力に優れた気持ちの良い音楽です。

筆者はこの曲凄く好きで、部屋で掛けるも良し、朝方のクラブとかで掛けるも良し。という感じなのですが、アルバム単位でどうなのかというと、一言で「滅茶苦茶」。

古今東西謎な作品は数あれど、「何だこれ?」レベルの高さはなかなかのものです。
何と言うか、ただ滅茶苦茶なことをやっているわけではなくて、幅広く謎なんですよね。色々な事をやれるメンバーが揃っていたりする故に多方面にとっ散らかっていて、収集が付かないというか、そもそも上手にまとめる気なんて更々無いかのような統一感の無さ。
以前紹介した山本精一率いる「想い出波止場」であれば「そういうもの」という事で聴けるのですが、John Mclaughlinは真剣に生真面目に取り組んでこれなのか?というのがなんかやばい。

最高に爽やかだった「River of My Heart」の次に流れる「Planetary Citizen(邦題:惑星民)」は、いきなりアッパーな陽気さが全開で、もうちょっと曲順どうにかならんかったのか、と毎回思うところですが、この曲は90年前後のヒップホップのサンプリングネタとしてよく使われており、以前紹介したMassive Attack(マッシヴ・アタック)の「Unfinished Sympathy(アンフィニッシュド・シンパシー)」や、ヒップホップ・クラシックの1枚、Slick Rick(スリック・リック)の『The Great Adventures of Slick Rick』に収録された「Kit (What’s The Scoop) 」だったり、Jay-Zの師匠筋にあたるThe Jaz(ザ・ジャズ。後にJaz-Oに改名。ところでこの人はもっと評価されて然るべき)の『To Your Soul』収録の「A Nation Divided」等に流用された人気楽曲だったりもします。
しかし「わが心の河」に「惑星民」ってなんか良い邦題ですね。

ついでに同作収録曲の他の邦題も挙げると「The Way of the Pilgrim」が「天露歴程」、「Lotus Feet」が「忘憂樹の台座」。

更にやや悪ノリで他の作品からも挙げると、ライブアルバム『Between Nothingness & Eternity』が『虚無からの飛翔』。
収録曲の「Trilogy」が「悲の3部曲」。
a)輝ける径 – “Sunlit Path”
b)海の聖母 – “La Mere de la Mer”
c)永遠伝説 – “Tomorrow’s Story Not the Same”
といった具合。
ほとんど直訳ながらこの時代特有の今見るとなんとも面白くなっちゃう感じが横溢しています。
前にも同じこと書きましたが、各レコード会社は洋楽の国内盤出すのなら極力邦題付けて欲しい。

アルバムの話に戻りますと、上述の通りとっ散らかった作品ですが、何せこのジャケットでタイトルが『インナー・ワールド 内深界』なので、「そうか、人の内面って色々複雑だよな。」で納得してしまうという。
一昨日、昨日と音楽もジャケットも大変お洒落でしたが、これはこれで非常に洗練されたジャケットではある。購買意欲をそそるかどうかは不明ながら。

総じてジャズ入門にお勧め出来るタイプの作品ではありませんが、こういうのもありますよ。ということで。

John Mclaughlinを聴くのなら、まずはMiles Davisの『A Tribute to Jack Johnson(ジャック・ジョンソン)』(1970年作品)か、『In A Silent Way(イン・ア・サイレント・ウェイ)』(1969年作品)辺りが間違いないと思います。

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