【今日の1曲】ムーンライダーズ – ヴァージニティ

ムーンライダーズ第3弾。

ドラマー・かしぶち哲朗による作詞・作曲「バック・シート」
キーボーディスト・岡田徹による作曲「Kのトランク」
に続きまして、本日はメインボーカルでコンポーザー、世にも稀な音楽集団のリーダーでもある、鈴木慶一による楽曲を紹介します。

で、一応ムーンライダーズをあまりよく知らない、聴いた事がない、という人向けの選曲且つ、今までの流れで80年代New Wave期の楽曲。というのを念頭に置いて考えると、うーん、これが結構難しい。

個人的に好きで、パッと浮かんだのは1984年作品『AMATEUR ACADEMY(アマチュア・アカデミー)』収録の「BLDG(ジャックはビルを見つめて)」。
でもこの曲を単体でいきなり聴いてもなー。と言うのも、アルバムトータルで最後の締めに聴いてこそ。の楽曲だからです(正確にはその後にもう1曲あるけれど)。

1985年作品『ANIMAL INDEX(アニマル・インデックス)』収録の「歩いて、車で、スプートニクで」、こちらも同様で、アルバム最後に聴いてこそ。
同作の1曲目の「悲しいしらせ」も良いけれど、やや込み入った曲だったりする。

選曲にあたり、特に単独作という縛りを設けたわけでは無いのですが、鈴木慶一単独での作詞作曲ってこの時期あんまり無いのと、共作楽曲にしても結構複雑で独自性の高い、入門用というよりも入門後にお楽しみ頂く方が良さげな楽曲が多い。

という事で、今回はこちら。

ヴァージニティ Virginity ムーンライダース MOONRIDERS
ムーンライダーズ – VIRGINITY

「バック・シート」と同じく1979年にリリースされた4thアルバム『MODERN MUSIC(モダーン・ミュージック)』のA面ラストに収録された、「Virginity(ヴァージニティ)」。

あ、ちょっと面倒なのですが、ここで楽曲について書く前に言及しておきます、「ムーンライダーズのアルバムの数え方問題」。
前回「バック・シート」紹介時もさらっと「4th」と紹介しましたが、どれをデビュー作としてカウントするか?というややこしい問題が何十年も付き纏っています。

と言うのも、1976年にリリースされた『火の玉ボーイ』の名義が、「鈴木慶一とムーンライダース」なんですよね。これを1stとするのか、ムーンライダーズ名義の1977年のアルバム『MOON RIDERS』を1stとするのか。という問題。当サイトは後者で行きます。Wikipediaもそれでカウントしてるみたいだし。
この始めからしてビミョーに締まらない感じがムーンライダーズらしいといえばらしいエピソードです。

さらに細かい事も書くと、「ムーンライダース」「ムーンライダーズ」濁音付くの付かないの問題。
もう一つついでに、「MOON RIDERS」「MOONRIDERS」「Moonriders」「moonriders」のアルファベット表記問題。

これらの移り変わりについてWikipediaに記述があったので、気になる方はそちらをご確認ください。
今現在の確定版としては読みとカタカナ表記は「ムーンライダーズ」。アルファベット表記は「moonriders」になっております。
ちょっとした事ではありますが、こういうところも売れなかった要因に僅かながら含まれるのかも。
「B’z」でも「Mr.Children」でも「L’Arc-en-Ciel」でも、字面が記号のように認識されているはずで、これが時期によって変わるってちょっと考えられないですもんね。

はい、では「ヴァージニティ」
こちら鈴木慶一による単独作詞作曲の楽曲で、ムーンライダーズを語る際に欠かせない楽曲、ということは全然なく、シングル・カットもされているものの、アルバム『MODERN MUSIC』の中でもそんなに言及されない類の楽曲、という認識があります。

このアルバムについて語られる際に出てくるのは、時流に乗ったアルバム随一の分かり易いテクノポップ曲「ヴィデオ・ボーイ」だったり、文学性の高いB面の「モダーン・ラヴァーズ」だったり「バック・シート」に「鬼火」といったところです。

実際「バック・シート」のようなとんでもない楽曲ではないし、上述の別アルバム収録の鈴木慶一楽曲にある、複雑で独自性の高い楽曲でもないと思います。

が、これが案外入門には良いのでは?

ムーンライダーズって普通のラブソングがあんまりないんですよね。
あってもちょっと斜め上を行くような、クラゲがどうのとか、洪水がどうのこうのとか、あとは…他の例がパッと思い浮かばないくらいに無い。

そんな中で、この楽曲は珍しく男女の(あ、女女でも成り立つか)色恋についての歌です。

ちょっと冷やかした言い方をすると、とんだおセンチ野郎みたいな内容ですが、恋というのは多分にこういうものなのかも知れません。

クールで淡々としたドラムに弾力のあるベースは、リズムセクションだけでも飽きずに聴けそうな位に気持ちの良いもので、絶妙な音色のキーボードによる演出と、殊更主張しているわけではないのに口ずさめる位にキャッチーなギターのフレーズが効果的に響くこの楽曲。いわゆる「名曲」の類では無いかも知れませんが、素晴らしき愛すべき佳曲です。

何かの本で、鈴木慶一が「隠れた人気曲」(「ベストにあげる人がたまにいる」だったかな?ソース発見出来ず)みたいな事を語っていましたが、それも分からなくはない、ムーンライダーズの地力と言うか基礎力を知るのにも良い1曲だと思います。

最後に付け加えると、個人的には断然アルバムバージョンの方が良いです。
サブスク配信のリマスター版の最後にボーナストラックとしてシングルバージョンも収録されているので、聴き比べてみるのも良いのでは。

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