【今日の1曲】加藤和彦 – 3時にウイスキー

昨日に引き続きもう1曲加藤和彦。

本日紹介するのは1991年に発売された11枚目のソロアルバム『ボレロ・カリフォルニア』に収録された「3時にウイスキー」。

加藤和彦 3時にウイスキー 1991
加藤和彦 – 3時にウイスキー

この作品はタイトルの通りカリフォルニアをテーマにした作品で、加藤和彦は他にもベルリンをテーマとした『うたかたのオペラ』(1980年作品)、1920年代のパリをテーマとした『ベル・エキセントリック』(1981年作品)、ヴェネツィアをテーマとしたこれまたタイトルそのままの『ヴェネツィア』(1984年)を制作していますが、いずれも作詞は配偶者でもあった安井かずみによるものです。

そしてこの『ボレロ・カリフォルニア』発表後、安井かずみは病に倒れ1994年に死去。
本作が最後の共作アルバムとなりました。
安井かずみの死後、加藤和彦はソロアルバムを制作する事なく、結果として加藤和彦にとってもこれが最後のソロ作品になってしまいました。

このアルバムのもう1人の重要人物が、当サイトでこれまで何度か取り上げている名アレンジャーのNick De Caro(ニック・デカロ)で、全曲の編曲を手掛けています。Nick De Caroもまた、本作発表の翌年1992年に53歳の若さで亡くなっており、最晩年に手掛けた仕事(遺作?)となりました。

「3時にウイスキー」のイントロで流れるメロディーは、古くは1954年に制作されたジャズのスタンダード・ナンバー「Fly Me to the Moon(フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン、当初のタイトルは「In Other Words」)」、ロックファンであればNeil Young(ニール・ヤング)の「Like A Hurricane(ライク・ア・ハリケーン)」(1977年作品)が想起されるのではないかと思いますが、おそらくこのメロディーは1960年代にデビューしたプロテスト・ソング歌手Phil Ochs(フィル・オークス)の楽曲「Bracero」(1966年発表)から来ているのではないか?と推測します。

と、いうのもこのスペイン語で「肉体労働者」を意味するタイトルの楽曲は、メキシコから国境を越えて苦労して働く移民労働者の苦境を皮肉を交え歌ったもので、以下のような歌詞が含まれています。

Oh, Welcome to California Where the friendly farmer will take care of you
フレンドリーな農家があなたの面倒を見るカリフォルニアへようこそ

これは加藤和彦によるアイデアなのかNick De Caroによるものなのか不明ですが(多分Nick De Caro。仮定の上に更に想像)、無意味にこんな有名フレーズを引っ張って来ないと思うのと、全体的にラテンフレーバーも入っているので、やはりそうなんじゃないかな?と想像する次第です。
穀物無しにウイスキーは作れないですしね。

Phil Ochs – Bracero
Phil Ochs – Bracero

なお、Phil Ochsは双極性障害やアルコール依存症により、1976年に自殺により35歳という若さで生涯を終えています。日本ではあまり取り上げられていないように思うPhil Ochsですが、今の時代に改めてプロテストソングを聴いてみるのも意義深いのではないでしょうか。

加藤和彦から話が外れますが、Neil YoungはPhil Ochsのファンだったようなので、「Like A Hurricane」は「Fly me to the Moon」からではなく、「Bracero」からの影響が強いのかも知れません。

Fly me to the Moon [日本語訳付き]    ドリス・デイ

「Fly me to the Moon」は様々なミュージシャンがカバーしておりますが、Doris Day(ドリス・デイ)バージョンで。
前に「5月病対策」という事で「Que Sera, Sera(ケ・セラ・セラ)」選曲しましたが、そのすぐ後に亡くなってしまいましたね。97歳の大往生でした。

Neil Young Like A Hurricane (Best Ever Version)
Neil Young – Like A Hurricane (Best Ever Version)

本項で名前が出た唯一の存命者Neil Young。

イントロのメロディーだけでそこそこの文章量になってしまいましたが、「3時にウイスキー」、粋な楽曲です。
後にも先にも加藤和彦と安井かずみのポジションに相当するミュージシャンって居ないですね。

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