【今日の1曲】Talk Talk – Ascension Day

いきなりですが、90年代の名盤といえば何が思い浮かぶでしょうか?

筆者はYoussou N’Dour(ユッスー・ンドゥール)の『SET(セット)』やNusrat Fateh Ali Khan‎(ヌスラット・ファテ・アリ・ハーン)の緒作、本日訃報が届いたJoão Gilberto(ジョアン・ジルベルト)の『João』等、非西洋圏の音楽がパッと思い付きますが、欧米のもので真っ先に思い浮かぶのが、Talk Talk(トーク・トーク)の1991年作品『Laughing Stock(ラフィング・ストック、日本語で言うところの「もの笑いの種」)』です。

昨日のRadiohead(レディオヘッド)にも少なからず影響を与えたであろう、イギリス出身のバンドで、元々はデュラン・デュラン(先日のKOJI1200の今田耕司とテイ・トウワのインスピレーション源になったバンド。曲名の「ナウ・ロマンティック」はジャンル名のニュー・ロマンティックを改変したもの。のはず)等が引き合いに出されるシンセ・ポップ、ニュー・ロマンティックに分類されるサウンドでしたが、前作にあたる4thアルバム『Spirit of Eden(スピリット・オブ・エデン)』から作風が大きく変わり、静謐で実験的とも言える、ジャズやクラシック、アンビエント等を取り入れたものになります。

本作はさらにそれを研ぎ澄まし洗練させたものになっており、ジャズレーベルのVerve Records(ヴァーヴ・レコード)からリリースされています。

大変に格調と芸術性の高い作品で、ポップ・ミュージックの魅力の一つでもある大衆性や下世話さには欠けるかもしれませんが、決して難解というわけでは無く、全編を通して物凄く冴え渡った音の鳴り方をしている、気持ちの良い音楽です。

これRadioheadの今のところ最新作に当たる2017年の9thアルバム『A Moon Shaped Pool(ア・ムーン・シェイプト・プール)』が到達したサウンドや曲調、ムードも割と近い印象ですが、幾ら現代最高峰のバンドRadioheadでも、これを引き合いに出すと分が悪いと言わざるを得ないほどに徹底されています(勿論Radioheadにも固有の良さがありますが)。

行くところまで行ってしまって、やり切った感があったのか、もう疲れてしまったのか、このアルバムを最後にバンドは解散。中心人物で作詞作曲のほとんどを手掛けていたMark Hollis(マーク・ホリス)は、7年後の1998年に自身の名を冠した最初で最後のアルバムを発表。そして、家族との時間と育児を優先する旨を述べ引退してしまいます。

その後一切表舞台に戻ることなく、今年2019年の2月25日、急病により64歳で逝去したと報じられました。
ある日突然新作が出たりしないものかという期待は、ついぞ叶わないものになってしまったようです。

この『Laughing Stock』という作品は、Joni Mitchell(ジョニ・ミッチェル)の『The Hissing of Summer Lawns(夏草の誘い)』や、Jimi Hendrix(ジミ・ヘンドリクス)の『エレクトリック・レディランド』、Curtis Mayfield(カーティス・メイフィールド)の『There’s No Place Like America Today(ゼアズ・ノー・プレイス・ライク・アメリカ・トゥデイ)』といった、別格で孤高のポジションにある作品と同格に位置する、90年代の欧米のロックというジャンルの中では唯一のものだと思っています。

【今日の1曲】と言うよりも【今日の1枚】になりましたが、その中から比較的キャッチーなところで、アルバム2曲目に収録されている楽曲「Ascension Day」をご紹介します。
2曲目から3曲目の流れは聴きどころのひとつなので、是非フルアルバムで聴いてみてください。

02 Ascension Day – Talk Talk
Talk Talk – Ascension Day

本記事を書くにあたりWikiを見て知ったのですが、この作品、Pitchfork(ピッチフォーク)が選ぶ「1990年代のベストアルバム」という企画で11位に選ばれているんですね。ちなみに1位はRadioheadの『OK Computer』でした。
日本でももっと知られて然るべき作品です。

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