今日の1曲 Judee Sill(ジュディ・シル) – The Kiss と、もう1曲 Judee Sill – Til Dreams Come True

1973年に発表された2ndアルバム『Heart Food』収録曲より「The Kiss」。

The Kiss (Remastered)
Judee Sill – The Kiss (Remastered)

ジュディ・シルの生涯について知ろうとすれば、悲惨でハードなトピックの羅列を見ることになります。
幼くして父と兄と死別、母親の再婚相手からの暴力、10代で家出し犯罪と麻薬に染まる、強盗、逮捕、服役。
服役中の教育プログラムで感銘を受けたキリスト教と宗教音楽、バッハからの影響。出所後、レコード契約を取り付け1971年デビュー。高い評価を受けるも商業的成功には至らず。本日紹介したThe Kiss収録の2ndアルバムは、レコードレーベルの社長のセクシャリティについてインタビューで喋ってしまったことで怒りを買い、全く宣伝をして貰えず。結果売り上げはデビュー作を下回り、こちらも商業的には失敗。そのまま契約は切られてしまい表舞台から姿を消す。その後交通事故に見舞われ、後遺症に悩まされるも、犯罪歴があった事で合法的な薬を処方して貰えず、再び麻薬中毒に。そして麻薬の過剰摂取で1979年この世を去る。

波乱万丈な彼女の生涯をトピックスとしてこうして書き出すと、とても幸せそうには思えません。実際のところは本人にしか分かりませんが。

祈りはどこへ向けて放たれるのか?
その祈りは届くことがあるのか?
この「The Kiss」という楽曲はその祈りが向けられた先の、言うなれば「大いなるもの」と一体化した状態が録音として残されてしまったかのような、奇跡的な代物です。

こんな音楽を奏でていた時、それはきっと他の誰も味わったことがないほどの幸福な体験だったのではないか、と考えます。そうだったならいいのに。

彼女の死後、25年以上が経過した2005年、彼女が1974年に録音していたデモを元に3枚目のアルバム『Dreams Come True』が発表されます。その中からアルバムのタイトルにもなった1曲。

Til Dreams Come True – Judee Sill
Judee Sill – Til Dreams Come True

生前ほとんど脚光を浴びることなく、その後も人知れず埋もれてしまっていたとされるジュディ・シルですが、死後20年以上が経過した2003年頃、CDが少量発売されたことを契機にじわじわと評価が高まっていきました。筆者が知ったのもそのタイミングです。
残された3枚のアルバムはどれも素晴らしく、その響きには途轍もないものがあります。

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